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うさぎのエンセファリトゾーン症状と検査方法まとめ

うさぎのエンセファリトゾーン症(E.キュニクリ感染症)の主な症状と、動物病院で行われる検査の種類を解説。斜頸やふらつきに気づいたときの対応も紹介します。

うさぎのエンセファリトゾーン症状と検査方法まとめ

野生のアナウサギは巣穴の中で仲間と密接に暮らしていますが、体調を崩した個体は群れから離れ、外敵に狙われないよう静かに身を隠す習性があります。つまり「具合が悪いことを隠す」のがうさぎの本能です。家のうさぎも同じ習性を持っているため、飼い主さんが日々の小さな変化に気づいてあげることが、病気の早期発見には欠かせません。今回はうさぎに比較的多い「エンセファリトゾーン症」について、症状と検査の基本を整理します。

うさぎのエンセファリトゾーン症とは

エンセファリトゾーン症は、エンセファリトゾーン・クニクリ(E.キュニクリ)という微胞子虫(真菌に近い性質を持つ微生物)の感染によって起こる病気です。この寄生体は主に脳・脊髄・腎臓・水晶体(目のレンズ部分)に入り込み、炎症を引き起こすことが知られています。感染していても症状が出ないまま経過するうさぎは多く、日本の飼いうさぎ337羽を調べた2008年の調査(Igarashi ら, Journal of Veterinary Medical Science)では、神経症状のない健康な単独飼育の個体でも29.7%、他のうさぎと同居している個体では75.2%がE.キュニクリの抗体を持っていました。つまり「感染している=必ず発症する」わけではない点をまず押さえておく必要があります。

主な症状|斜頸・後ろ足のふらつきに注意

エンセファリトゾーン症の代表的な症状は、頭が傾く「斜頸(しゃけい)」と、後ろ足の麻痺やふらつきです。これらは寄生体が脳や脊髄に影響を及ぼした場合に現れると考えられている神経症状で、症状が急に出ることも、数日かけてゆっくり進むこともあります。斜頸についてはうさぎの斜頸とは?原因と対処法を解説で詳しく取り上げていますが、エンセファリトゾーン症以外にも耳の感染症など複数の原因が考えられるため、自己判断せず検査を受けることが大切です。

神経症状以外にも、以下のようなサインが見られることがあります。

症状のタイプ具体的な様子
神経症状頭が傾く、体が傾いてうまく立てない、けいれん、震え
眼の症状白目の部分に白い濁りが見える、白内障のような見た目の変化
腎臓関連水をよく飲む、尿の量が増える、食欲低下
一般的な体調不良元気消失、動きたがらない、うずくまる時間が増える

これらの症状はほかの病気でも起こり得るため、見た目だけでエンセファリトゾーン症と決めつけることはできません。ふだんと違う様子が1日以上続く場合は、様子見をせず動物病院に相談してください。

エンセファリトゾーン症の検査方法

エンセファリトゾーン症が疑われる場合、動物病院ではまず血液検査で抗体の有無を調べます。血液中にE.キュニクリに対する抗体があるかどうかを確認する検査で、比較的手軽に行える一方、「抗体がある=今の症状の原因である」と直接証明するものではありません。過去に感染して抗体を持っているだけで症状が出ていないうさぎも多いため、抗体検査の結果は、症状や他の検査結果と合わせて総合的に判断されます。

抗体検査以外には、次のような検査が組み合わされることがあります。

  • 神経学的検査:目の動き、姿勢反射、足の感覚などを診察でチェックする
  • 画像検査(MRI・CTなど):脳や脊髄の状態を確認する。設備のある病院での実施となる
  • 血液一般検査・尿検査:腎臓の状態や炎症の有無を確認する
  • 眼科検査:水晶体の濁りなど眼症状の有無を確認する

どの検査が必要かは症状の出方によって異なるため、まずはかかりつけの動物病院で相談し、必要な検査を提案してもらう流れになります。日頃からうさぎを診てもらえる病院を決めておくと、いざというときの相談がスムーズです。動物病院選びについてはうさぎに強い動物病院の選び方と探し方のコツも参考にしてください。

感染経路と予防のためにできること

E.キュニクリは感染したうさぎの尿の中に排出され、それを口にすることで他のうさぎにうつると考えられています。多頭飼育の場合は、ケージやトイレの共有によって感染が広がる可能性があるため、こまめな掃除が予防の基本になります。またメスから子うさぎへ胎盤を通じて感染することもあるとされています。

家庭でできる対策としては、次のようなことが挙げられます。

  1. ケージやトイレを定期的に清掃し、尿や汚れを放置しない
  2. 多頭飼育の場合は新しく迎えたうさぎの体調を数週間観察してから合流させる
  3. 食欲・飲水量・排泄の様子を毎日簡単にチェックする習慣をつける

完全に感染を防ぐ方法は確立されていないため、過度に神経質になる必要はありませんが、日々の観察と衛生管理の積み重ねが早期発見・早期相談につながります。定期的な健康診断も体調変化に気づくきっかけになります。詳しくはうさぎの健康診断の頻度と費用相場|何歳から必要?をご覧ください。

治療と日常のケア

エンセファリトゾーン症と診断された場合、症状の緩和や進行を抑えることを目的とした投薬などが行われることがありますが、治療方針や見通しはうさぎの状態によって大きく異なります。神経症状が残った場合は、食器や給水器の位置を低くする、床材を滑りにくいものにする、段差をなくすなど、日常生活の工夫が必要になることもあります。いずれの対応も自己判断で進めず、必ずかかりつけの動物病院の指示に沿って行ってください。

よくある質問

Q. うさぎの斜頸はエンセファリトゾーン症以外の原因もありますか? A. はい、あります。斜頸は内耳炎などの耳の感染症や、脳腫瘍、外傷などでも起こることが知られており、原因によって検査や対応が異なるため、症状が見られたら早めに動物病院を受診してください。

Q. エンセファリトゾーン症の抗体検査で陽性が出たら必ず発症しますか? A. いいえ、必ずしも発症するわけではありません。日本の調査では症状のない健康なうさぎでも29.7〜75.2%が抗体を持っていたと報告されており、陽性反応だけで発症や治療の必要性を判断することはできません。

Q. 家に他のうさぎがいる場合、隔離は必要ですか? A. 症状が疑われる間は、トイレやケージの共有を避け、様子を見ながら動物病院に相談するのが安心です。感染経路や必要な対応はうさぎの状態によって異なるため、具体的な判断は診察を受けた上で決めてください。

Q. 人間にうつることはありますか? A. E.キュニクリは他の動物種にも感染例が報告されている微生物ですが、家庭での飼育において過度に心配する必要は一般的にはないとされています。気になる場合はかかりつけの動物病院や医療機関に相談してください。

参考文献

※エンセファリトゾーン症の診断・治療方針は個体差が大きいため、症状が見られた際は必ずかかりつけの動物病院にご相談ください。

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